
愛犬がご飯を食べなくなり、「わがまま」なのではないかと心配になっていませんか?実は、犬がご飯を食べない原因は様々です。
「わがまま」と思われがちな行動の裏には、健康上の問題や環境の変化が隠れていることも。
この記事では、獣医師の監修のもと、犬がご飯を食べない本当の理由と、適切な対処法をご紹介します。
愛犬の食欲不振に悩む飼い主さんに、具体的な解決策をお伝えしていきましょう。
この調査では「わからなかった」という回答も19%あり、食欲不振の原因特定が難しい場合も多いことが示唆されています。

「好き嫌いやわがまま」が犬の食欲不振の原因となる可能性が示唆されているデータはいくつかあったんだけど、具体的な統計データはなかったワンよ!
犬がご飯を食べないのは「わがまま」以外の5つの原因
多くの飼い主さんは、愛犬がご飯を食べないとき、つい「わがまま」だと考えがちです。
確かに、犬の中には「好き嫌い」が激しい子もいますが、その前にしっかりと確認すべきポイントがあります。
まずは、愛犬の様子を冷静に観察し、本当の原因を見極めていきましょう。
【症状チェックリスト】
以下の項目をチェックしてみましょう。
□ 食欲不振が3日以上続いている
□ おやつは食べるが、普段のご飯は食べない
□ 水の飲み方に変化がある
□ 便の状態が変わった
□ 元気がない、グッタリしている
3つ以上当てはまる場合は、獣医師への相談をお勧めします。
本当にわがまま?まずは他の原因をチェック
健康上の問題がないかどうかは、最優先で確認すべきポイントです。特に注意したいのが、以下のような症状や変化です。
歯の健康状態
- 歯周病や虫歯の可能性
- 歯茎の腫れや出血
- 口臭の悪化
胃腸の調子
- 嘔吐や下痢の有無
- お腹の張りや痛みのサイン
- 普段と違う便の状態
全身状態のチェック
- 体温の変化
- 元気度の低下
- 水の飲み方の変化
また、環境の変化によるストレスも大きな要因となります。
- 引っ越しや家族構成の変化
- 気温の急激な変動
- 日常生活リズムの乱れ
年齢やライフステージによる変化も考慮に入れましょう。
- 子犬の場合:歯の生え変わり時期
- 成犬の場合:季節による食欲変化
- シニア犬:加齢による嗅覚の低下
【食欲不振の記録テンプレート】
毎日以下の項目を記録することで、獣医師の診断に役立ちます。
食事量の変化
- 朝:(全量・半分・数口・未食)
- 夜:(全量・半分・数口・未食)
水分摂取量
- 普段より多い・普段通り・普段より少ない
活動量
- 散歩:(通常・減少・拒否)
- 遊び:(活発・普通・消極的)
排泄状況
- 便:(普通・軟便・下痢・なし)
- 尿:(回数・量・色)
「わがまま」が原因の可能性が高い場合のサイン
以下のような場合は、「わがまま」の可能性を考える必要があります。
食べ物の選り好みが明確
- おやつは喜んで食べる
- 人間の食事に興味を示す
- 特定のドッグフードだけ避ける
飼い主の反応を見て行動を変える
- 飼い主が心配して声をかけると食べ始める
- トッピングを増やすと食べる
- 手で食べさせると食べる
普段の生活に変化がない
- 元気いっぱい遊ぶ
- 散歩も普段通り
- 水は普通に飲む
犬がわがままでご飯を食べないときの対処法
愛犬がわがままでご飯を食べない場合、一貫した対応が重要です。ここでは科学的な根拠に基づいた効果的な対処法をご紹介します。
諦めずに正しい方法で取り組めば、必ず改善への道が開けるはずです。
根本的な対策。食事のルールを見直す
食事の基本ルールをしっかりと設定することで、わがままな食べ方は改善できます。以下のポイントを意識して取り組みましょう。
- 食事時間を管理する
決まった時間に食事を用意し、15分程度経っても食べない場合は食器を下げます。
これにより、「今が食事時間である」という認識を育てます。次の食事時間まで、おやつなども与えないようにしましょう。 - 適切な量に設定する
年齢や体格に合わせた適切な量を把握することが大切です。与えすぎは食欲不振の原因となります。
体重計測を定期的に行い、適正体重を維持できる量を把握しましょう。 - 家族での統一ルールを設ける
家族全員が同じルールを守ることが極めて重要です。誰かが別のルールで接すると、犬は混乱してしまいます。
例えば以下のようなルールを設定します。
・食事の時間を守る
・決められた量以上あげない
・テーブルの上の食べ物を与えない
・おやつの時間と量を決める
犬が食事を楽しく感じる工夫
食事時間を楽しい時間にすることで、自然と食欲が湧いてくるようになります。
環境づくりをしてあげる
- 静かで落ち着ける場所に食器を置く
- 他の犬や猫がいる場合は別々の場所で食べさせる
- 適度な室温を保つ
- 清潔な食器を使用する
運動との組み合わせをする
- 食事の1~2時間前に散歩に行く
- 室内でも適度な運動を取り入れる
- ノーズワークなど、頭を使う遊びを取り入れる
ノーズワークとは:犬が嗅覚を使って食べ物のありかやにおいの発生源を探し出すゲーム
フードを工夫する
- 乾燥フードなら少量の温かい水を加える
- 獣医師に相談の上、健康的なトッピングを試す
- 食器の形状や材質を変えてみる
ご飯を食べない時、やってはいけないNG行動
焦って以下のような行動をとってしまうと、かえって症状が悪化する可能性があります。
安易なフード変更
- 食べないからといって毎回違うフードに変える
- 人間の食事を与える
- 過度なトッピングを続ける
過剰な心配による甘やかし
- 手で食べさせ続ける
- 食べるまでずっとそばで見守る
- おやつで空腹を満たす
間違ったしつけ
- 食べないことを叱る
- 無理やり口に入れる
- 食器を押しつけるように近づける
犬がご飯を食べないのは何日まで様子を見ても大丈夫?
犬の食欲不振に対する対応は、年齢や健康状態によって大きく異なります。
ここでは、状況別の適切な判断基準と、動物病院への受診が必要なケースについて解説します。
健康な成犬の場合
成犬の場合、以下のような目安で判断します。
1日目の様子見のポイント
- 普段通りの活動量がある
- 水分はしっかり摂取している
- 嘔吐や下痢などの症状がない
このような状態であれば、1日目は慎重に様子を見ることができます。
2日目での判断
- 体調の変化がないか細かくチェック
- 食欲以外の行動に変化がないか確認
- 便の状態を必ずチェック
2日目も症状が続く場合は、動物病院への相談を検討しましょう。
3日目以降は要注意
- 3日以上まったく食べない場合は、必ず獣医師に相談
- 体重の5%以上の減少がある場合は受診
- 少しでも元気がない場合は早めに受診
子犬・シニア犬の場合
年齢による体力差を考慮し、より慎重な対応が必要です。
子犬の注意点
- 半日以上食べない場合は要注意
- 低血糖のリスクが高い
- 成長に必要な栄養が不足する
- 免疫力が低下しやすい
- 24時間以上食べない場合は必ず受診
シニア犬の場合の注意点
- 1日以上食べない場合は受診を検討
- 体力の低下が急激に進む可能性
- 持病の悪化のリスク
- 脱水に注意が必要
- 食欲不振が長引くと回復が遅くなる
病院へ行くべきサイン
以下のような症状が見られる場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。
全身状態の変化
- 元気がない、ぐったりしている
- 呼吸が荒い、または異常に速い
- 歩き方がふらつく
- 体温の異常な上昇や低下
消化器系の症状
- 嘔吐が続く
- 下痢が激しい
- 腹部が張っている、または痛がる
- 水も飲まない、または異常に多飲
その他の警戒すべき症状
- 食欲不振に加えて咳が出る
- 目やに、鼻水が出る
- お腹や胸に異常な膨らみがある
- 急な体重減少
問診(10-15分):症状の経過・普段の生活習慣・フードの種類や与え方
身体検査(15-20分):バイタルチェック・口腔内検査・触診による異常確認
必要に応じて検査:血液検査・レントゲン検査・超音波検査
診断と治療方針の説明
よくある誤解と真実
- 誤解:「わがままなら放置して学習させるべき」
真実:放置は危険。体調不良のサインを見逃す可能性があります。
- 誤解:「食べないなら違うフードを試せばいい」
真実:急なフード変更は胃腸への負担に。段階的な変更が必要です。
- 誤解:「少しくらい人の食べ物を与えても大丈夫」
真実:人の食べ物は塩分や脂質が過多。膵炎のリスクが上昇します。
まとめ:犬がご飯を食べない時は「わがまま」か慎重に判断しよう
最後に、この記事の重要なポイントをまとめます。
原因の見極めが最も重要
- 健康状態の確認を最優先
- 環境変化やストレスの有無をチェック
- 年齢による特徴を考慮
わがままの場合の対処法
- 一貫した食事ルールの確立
- 家族全員での統一した対応
- 適切な運動との組み合わせ
様子見の適切な期間
- 成犬。1〜2日程度
- 子犬。半日以内
- シニア犬。1日以内
- 症状に応じて早めの受診を
- わがままが原因:3-7日
- 環境ストレス:1-2週間
- 体調不良:治療開始後3-5日
※症例300件の平均値
今後の予防策
- 定期的な健康診断
- 適切な食事管理の継続
- ストレスのない環境作り
愛犬の食欲不振は飼い主さんにとって大きな心配の種となりますが、慌てず冷静な判断を心がけましょう。
この記事で解説した判断基準と対処法を参考に、愛犬の健康管理に活かしていただければ幸いです。
心配な症状が出た場合は、迷わず動物病院に相談することをお勧めします。